おはようございます
昨日は「がん診療における緩和ケアセミナー」に行ってきました。
みなさん、「サイコオンコロジー」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?
日本サイコオンコロジー学会によりますと、
http://jpos-society.org/about/psycho-oncology.php
サイコオンコロジー(Psycho-Oncology)は、
「心」の研究をおこなう心理学(サイコロジー=Psychology)
「がん」の研究をする腫瘍学(オンコロジー=Oncology)
を組み合わせた造語で、「精神腫瘍学」と訳され、1980年代に確立した新しい学問です。
サイコオンコロジーでは、がん患者さんとご家族の心理・社会・行動的側面など幅広い領域での研究・臨場実践・教育を行います。
日本では、まだまだ馴染みのない言葉ではありますが、がんと診断された患者さん、ご家族の「こころ」を診てくれる先生が存在する、ということです。
昨日のお話の中で衝撃だったのは、がんと診断された後、不安や抑うつが続き「適応障害」を起こす人が全体の10〜25%おり、特に診断後1年以内に自殺を選ぶケースががんではない人と比べ、24倍にもなるという報告がなされたということ。
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/3399.html
とりわけ、診断から3ヶ月はとてもリスクの高い精神状態にあることが多いとのことでした。
診断後、速やかに治療へ、と考え間も無く治療が始まることが多いです。
がんは種類によっては、かなりのスピードで大きくなることもあるので、できるだけ早く治療を開始することが得策であると考えてのことですが、患者さんの中には気持ちがついていかないと思っておられる方も多くいらっしゃると感じてはいます。
治療は速やかに始められる事が重要ですが、それと同時に「こころ」を置いてけぼりにしない努力も重要と改めて思いました。
この問題に関しては、医師をはじめとする臨床にいる医療者も知識として持っており、重要であることも認識しているのですが、現状の医療体制ではフォローしきれないということが多く、制度等によって体制が整ってくるとそのジレンマも少なくなってくるかと思いました。
ただ、今、この現状の中で診断され、治療を開始している方にも「こころ」を大切にしながら生活を送れるように出来るサポートがあるだろうと思います。
私達のところにウィッグを探してご連絡を下さる患者さんの多くは「診断後数ヶ月」の時期におられるので、この危うさを日々実感しています。
「ウィッグを準備しておく」ということは、不安に対する良い対策であるし、それで得られる安心感が少しこころを安定させてくれると信じています。