2016.10.21更新

がんという病気には、ほかの病気と少し違った心配ごとがある。

それは、転移や再発。

 

この性質があるために、一度がんと診断されると、患者さん達はこの脅威をずっと心のどこかで感じ続けることになる。

一日中考えていることもあれば、すっかり忘れてしまうこともあるけれど、些細な体調の変化からその不安が突然大きくなっていったりすることもある。

 

この不安を多くの人は一人で抱えている。

一人で抱えるには大きすぎる不安だけれど、だれかにわかってもらえる類のものではないと思っていたりもする。

 

先日も一人の患者さんとお話しながら思った。

「自分でできることは自分でしなくちゃと思って」

もちろんできることは自分ですることも大切。

でも、時には弱音をだれかに話して「つらいんだよー、一人では頑張れないよー」と言ったっていいと思う。

だって、一人では頑張れない、私も。

 

こういう患者さんと向き合っているとき、なぜ私が看護師になったのか、ということをよく思い返す。

「病気になって、身体も心も辛い患者さんの力になりたいから」

 

多くの看護師はそういう気持ちを持って働いていると思う。

病院で働いていると、やるべきことが多すぎていっぱいいっぱいで、初心を忘れることも多かった。

そんな自分が嫌になることもあった。

 

確かナイチンゲールが言っていたんだけれど、

「できないことを物理的な問題だととらえるな」と。つまりは言い訳せずに、すべきと思ったことはしなさいという厳しいお言葉なんだけど。

でも、私のキャパシティでは無理で、私はナイチンゲールにはなれないなぁと思ったことを思い出した。

 

今もまだナイチンゲールには程遠いけど、私なりの方法で患者さんに寄り添う看護師でありたいと思う。

 

病院での忙しさから、一歩離れてみて、

だれかに話をすること、聞いてもらうことは、思っているよりもずっと大切なことだと気が付く。

もちろん、日々治療に携わってくれている先生や看護師さんたちがいてくれるからこそなんだけれど、

忙しくない人がぶらっと部屋にやってきて、うんうんと言いながらただただ話を聞いてくれた、というのも少しは役に立ちそうだと感じている。

 

そういう機会が持てる今の環境に感謝しながら、じっくりみなさんと向き合いたいなと思っています。

ただ話したい、聞いてほしい、というのも大歓迎です。

お気軽におこしください。

 

 

 

投稿者: NPO法人 全国福祉理美容師養成協会

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