こんにちは
夏休みは始まる前はすごく長いように思えるのに、いざ始まるとあっという間にすぎてしまうのは子供も大人も一緒ですね。
息子の夏休みにすっかりペースを崩されている私です。
少し前になりますが、小林麻央さんが他界され、同病の方のみならず日本中がまだ若い命が失われたことに悲しみを覚えました。
私は彼女と同じ年齢で、子供達の年齢まで一緒です。
梨園の妻であった彼女と全く立場は違いますが、小さい子供を持つ母親として、勝手に身近に感じていました。
そして彼女は死なずに済んだのではないか、と感じている人は少なくないと思います。
たらればを語るのはよくないですが、そのくらい惜しいことだと思ったから。
彼女の死後、TVでは「若年層のがんの増加」「早期発見のための検診受診」という特集を組んだ番組が多く、本当に伝えなくてはいけないメッセージはそれなのか?と思ってしまいました。
海老蔵さんが最初の会見をした時に「今は手術ができない状態」と言っていたので、てっきり初発で遠隔転移のある状態だったのかと思っていましたが、彼女は検診で見つかった時には十分に治療可能な段階だったとのこと。
彼がこの分かりにくい説明をしたのは、自分たちの振る舞い(提示された標準治療ではなく、民間療法的なものを行っていたこと)をすでに後悔していたからなのか、そもそもよく理解できていなかったのか、それは私にはわからないけれど、このあたりから問題がもやっとしてきたのではないかと思います。
海老蔵さんの会見は男らしく、すごく素敵だったし、もうそんなに追いかけ回してやるなよ、と思ったけど。
そして、麻央さんは結局病院に戻って抗がん剤治療を受けたりする。
病院で看護師をしていた頃にも、随分と病状が進んでから受診する方が一定数いました。
中には怖くて、どうしても来られなかったという方もいますが、
早期に一度受診したのに、その後病院での治療は受けず「民間療法」を受けていたと話す方もいました。
そういう状況になってから病院に来ても、治療の方法は限られてしまい「根治」を目指す治療は受けられないことも多いです。
そして、そういう方は比較的金銭的な余裕がある方が多い印象でした。
あと、患者さんと同様かそれ以上に家族の想いが強いことが多かった。
もちろん早期発見も大切だけど、むやみやたらに検診を受ければいいわけじゃないと思います。
そもそも見つかったって治療を受けなかったら意味ないし。そこでなのでは?今回の件から学ぶべきことは。
現に「乳がん検診ガイドライン」http://canscreen.ncc.go.jp/guideline/pdf/nyugan_kenshin_guidelinebook_20140430.pdfには、
マンモグラフィ単独法およびマンモグラフィと視触診の併用法(40 歳未満) :推奨グレード I
40 歳未満の乳がん罹患率は低く、死亡率減少効果を検討した研究も極めて少ない。この ため、死亡率減少効果を判断することはできない。従って、推奨グレード I と判断し、対策 型検診としての実施は推奨しない。任意型検診として実施する場合には、死亡率減少効果が 不明であり、不利益が大きい可能性について適切な説明を行うべきである。
とあります。
やったって見つからないことの方が多くて、不利益が大きいと言っているのにどうしてみんな受けた方がいいと言えるのか。
もちろん麻央さんみたいに30代になったばかりで乳がんがみつかることもありますが、利益と不利益のバランス的には推奨できるほどのものがないのです。TVを見ただけでは、同じような年齢ならば積極的に検診を受けましょうと聞こえます。
40歳以上になったら2年に1回の検診が推奨されると厚生労働省も指針を出していて、それに従う形で自治体の補助も出ているはずです。国の指針になるにはそれなりの後ろ盾があります。
標準治療についてもそうです。今最も治療効果が認められている方法が日本にいるならどこでも同じように受けられるように、とされているわけです。
この標準治療って言葉が悪いのではないか、という声もあります。
特に一部のお金持ちや特権階級意識のある人たちは「標準」ではなく「特別」な治療を探す、心理が働くようです。
お金や権力を使えば、もっといい治療を受けられるはずだ、と思う。
なんだか怖いけれど。
そして、現代の日本の医療はありがたいことに貴賤の差なく、最も良いとされている医療を提供してくれます。
診断や治療について疑問があればセカンドオピニオンが受けられますし、本人が望めば基本的にはどの病院でも治療が受けられるシステムです。
乳がんの名医の先生に先日セミナーで
「多くの情報をみて、惑わされている患者さんがいますが、どのように振る舞えばいいか、何かアドバイスを」と質問をしました。
先生は
「そういう情報は見ない!が一番いいけど、そうはいかないね、でも自分の主治医を信じてあげてください」とおっしゃってました。
最後に、とはいっても命はコントロールできないものだと思っています。
どんなに一生懸命に治療しても救えない時もあります。
だから今日を楽しく生きる。できるだけ後悔しないように。
楽しく生きる、のお手伝いができたらいいなと思っています。